神道稲門会

神道稲門会設立総会記事(早稲田学報 2017APRより)

 2017年2月14日午後6時、神社関係者をはじめとする校友75名(神職23名、一般会員28名、招待5名、ゲスト参加19名)が一同に会し、「神道稲門会設立総会・親睦会」が、赤坂永楽倶楽部にて開催されました。本会は会員相互の親睦と向上を図り、早稲田大学ならびに日本文化へ貢献すること、神道を通して社会貢献することを目的としています。早稲田大学には神道系学部は存在しませんが、早稲田大学卒業後に他大学の神道系学部などで学び、神職に従事する卒業生は少なくありません。2月現在の会員数は、早稲田卒業の神職35名、一般・神社関係者34名ですが、広く全国に関係者が分散しており、地域社会の発展に貢献しています。

 設立総会では、会長の鹿島神宮鹿島則良宮司からあいさつがありました。その後、来賓の福田秋秀校友会代表幹事、奥島孝康永楽倶楽部会長、大谷哲夫仏教稲門会幹事長からご祝辞を頂き、懇親会では来賓の國場幸之助参議院議員、日枝神社宮西惟道宮司、羽鳥裕稲門医師会会長からごあいさつを頂きました。懇親会の最後は、応援部OBの石川範行氏のエールで『早稲田大学校歌』を斉唱して大いに盛り上がりました。また、仏教稲門会へエールを送らせていただきました。

 神道稲門会の会員資格は、①早稲田大学卒業者、およびそれに準ずる者、②推薦校友(早稲田大学校友会規則による)である者、③校友で設立目的に賛同し、神職の道に進み、神職の免許を有する者、④神道に深く精通し、また興味を持ち、日本文化発展を願う校友、⑤所定の手段により年会費を納入する者、となっています。主な活動は、①総会、各種行事の開催、②早稲田大学、早稲田大学校友会の活動への協力、参加、③仏教稲門会との連携、④早稲田大学校友との親睦・連携、⑤早稲田大学の総合的発展を目指す事業、の5項目です。具体的な活動としては、2016年10月に永楽倶楽部との共催で、鹿島宮司による学術講演会「現代の神道に繋がる神話について」を開催しました。今後の稲門祭では、仏教稲門会と共同で宗教関連シンポジウムを開催したいと考えています。その他にも、全国規模で会員の相互交流、社会への情報発信、大学との連携、地域稲門会との連携、親睦などを行い、さまざまな観点で広く活動を展開していく予定です。

 以上の設立趣旨、内容をご理解いただき、神道稲門会へのご理解とこの会への入会を心からお願い申し上げます。

幹事長 武田淳史 記 



新型コロナウイルス感染症に教えられたこと

 一般の方が神社を訪れるのは正月や例大祭といった年中行事、もしくは初宮詣、七五三、厄祓といった人生儀礼の目的が多いのではないだろうか。

 一方、神社にとっては年に一度の例大祭を始め、四季折々に行われる恒例祭、月毎に行われる月次祭、日毎行われる日供祭といった祭典が重要視され、これらの祭典は日頃の神恩に感謝するとともに、あまねく人々が健康で平和で心豊かに過ごせることを祈るもので、前者の個人祈願とは一線を画している。

 もう十年も経つのだろうか、神社ブーム・御朱印ブームなど言われ、多くの人々が神社に興味を持ち、足を運んでくれるようになっていた。

 そんな折に起きたのが件の新型コロナである。当初は中国の風土病程度の認識だったものが、徐々に悲惨な状況が世界に拡がっていく状をテレビ等で嫌という程見せられた。そして、令和二年三月の第一回緊急事態宣言が発出され、人流抑制で世の中はすっかりと様変わりした。

 神社においても凡そ三週間は人出がパッタリと止まり、三十人程の職員を抱える当神社にあっても一般の飲食店同様、少しでも早い収束を願ったのである。今のところ当神社の職員その家族等に感染者が出ることはなかったが、氏子の中にちらほらと感染の噂を聞き、心を痛めた。

 当社では、手水舎を柄杓を使わず利用出来るように改造し、祈祷を受ける方には検温や手指消毒をお願いし、人の集まるお祭りは中止に、正月にはソーシャル・ディスタンスをお願いし、何とか切り抜けてきた。

 一方、社頭に目を向けると、普段の日の参拝者は引きも切らず、参拝者の方々が整然かつ黙々と手を合わせていた。そのマナーの良さには改めて日本人が持つ礼儀正しさを思い知らされた。

 幸い現在のところ第五波が急速に鎮静化し、長いトンネルの出口の明かりが見えつつある。神前に祈りを捧げることはもちろんだが、神社も社会の一部として感染の拡がりにつながることは極力控え、参拝される方々が気持ち良く心安らかにお参り出来る場を提供するように心掛けていくつもりである。

 コロナ禍により失ったものは多いが、コロナに教えられたことも多い。

 科学万能の世にあって、まだまだ知られていないことも多く、その見えない敵に対して世界の人々が協力して、その困難を乗り切っていくことが出来ると信じている。必ずやこの災禍は人類をさらに強くするものと心得、神社も含め現代の人々が忘れかけていた自然に対する畏怖の念を今後の神事や諸活動に取り入れたいと考える毎日である。

東京都杉並区・阿佐谷神明宮宮司 神道稲門会副会長 齋藤博明 記